雅楽体験@下神明天祖神社

“パオーン”と気持ちの笛の音が響く。笙(しょう)の音や打楽器などが入り、なんとも優雅な雅楽の演奏が始まった。

 

「天の音といわれる笙、大地の音といわれる篳篥(ひちりき)。それに空を現す龍笛(りゅうてき)が加わって、天と地をいったりきたりする。これが雅楽なんですね。」

 

 

ここ下神明天祖神社では、なんと(!)楽器からつくり、雅楽の稽古も毎週行っています。

この日は、宮城県からの修学旅行生が訪れ、熱心に加藤さん(楽器制作、楽師)の話に耳を傾けていました。

 

 

神社近くにある建物の中には、所狭しとあらゆる楽器や工具がおかれ、23人の職人が座るとそれだけで部屋がいっぱいになります。

その横に置かれている楽譜をみると、見慣れている♪マークなどは一切なく、「タァハアチヒラアニヒラアリイタァ」といった謎のカタカナの横に漢数字がふられている。

 

 

「はて?」と私が首をかしげていると、宮司であり雅楽の楽師でもある福岡三郎さんが声をかけてくれた。

「雅楽の楽譜は、すべて口伝なんですよ。師匠の奏でる音を、弟子がカタカナで書きとって、押さえる指の番号を書きとめたもので、言ってみれば備忘録なんです。

バッハやベートーベンと違って楽譜があれば、再現できるようなものではなく、人から人へしか伝えられない音楽なんですよ。

雅楽も元は5世紀頃、中国や朝鮮半島から伝えられた音楽だったのですが、いまでは日本でしか聞けない音楽でもあるのです。」

 

 

「なぜかって?人から人へ伝える音楽だから、戦争が20年でもあるとそこで途絶えてしまう。その点、日本の雅楽は、宮内庁に守られ1300年以上生きながらえてきた。2回の大戦は経験したものの、日本がこれまで平和であったことの象徴でもあるのです。」

 

中学生の方を見やると、熱心に笛や笙の稽古を受けている。

 

こうやって直に師匠から学べる環境であることが、文化にとっていかに大事なことなのか、少しわかったような気がした。